「韓国で働く」にまつわる話~韓国就職とビザ~

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駐在で来たわけでもなく、韓国の方と結婚したわけでもなく、特にKコンテンツにどはまりしたわけでもない、ある種の在韓日本人マイノリティの目線から、韓国での仕事とビザという韓国で生活していく上で避けては通れない問題について、体験談ベースで書いていきたいと思います。

まずは自己紹介も兼ねて、なぜ私が韓国語を学び、韓国での就職を選んだのかということについて紹介します。

自己紹介

私は福島県の会津という「歴史ある田舎町」で生まれ育ち、東京の大学に進学しました。大学・大学院の間にアメリカや中国、そしてソウルで交換留学を経験して、卒業後は東京の戦略コンサルティング会社に就職しました。

3年半ほどその会社で仕事をしたのち、2019年の6月にワーキングホリデービザを使って再度韓国に渡り、運よく映画関連のCJ4DPLEXというCJグループの会社に転職したのち、複数の韓国スタートアップの日本進出ポジションで仕事をしてきました。

どうやって韓国で就職したのか?

どうやって韓国で就職したのか?
(ワーホリ生活初日(2019年6月4日)の夕焼け)


なぜ韓国に興味を持ったのか?

「韓国で仕事をしています」というと、私が受けるよくある質問のうち2大質問が下記の2つです。

① 「なんで日本じゃなくて韓国で仕事してるんですか?」

② 「K-POPやKコンテンツが好きで韓国に来たんですか?」

先にお答えすると、一問目に関しては、「ただなんとなく居心地がよかったから」が答えになります。二問目に関しては、「別にK-POPやKコンテンツがとりわけ好きだったわけではありません」が答えになります。

ではなぜ韓国と接点を持ったかというと、私の場合は学部での卒論の研究テーマでした。もともと、核問題と国際関係に興味をもっていた私は、アメリカに交換留学しました。その時に、国際関係の授業をとった教授が韓国人の先生で、卒論のテーマを相談しにいったら「あなたはアジア人なのだから、北朝鮮の問題をやるといいよ!」といわれ、それなら韓国語も少しはできた方がいいのかなと思い学びだしたのが、きっかけです。

そのため、この文章を読んでくれている読者の方々と比べるとちょっとイレギュラーな入口から入ってきました。

ただその後、韓国での語学研修や大学院で韓国への交換留学を経験して、熱気があって、人がよくて、食べ物もおいしい。明確な言語化が困難なのですが、何よりも「居心地がいい」韓国の魅力にどっぷりはまりました。

どうやって韓国で就職したのか?

社会人生活も数年たち、何か新しいチャレンジをしたいタイミングで思いついたのが、再度韓国に行くことでした。とりあえず、ワーホリビザを取得して、少し人生の小休止ぐらいの気持ちで韓国に来たのが2019年6月です。そのころ、延世語学堂に通っていた私にLinkedInで人材エージェントから何やらメールが届きました。面白そうな仕事だったので、その仕事にアプライしたことがきっかけで韓国就職し、それから韓国企業で仕事をしています。

 その際に意識していたことは、①とにかくいろんな人に合う ②LinkedInや転職サイトの情報を最新に保つ ③応募条件に完全にフィットしていなくても問い合わせ・アプライしてみるということでした。この3点は、新卒・転職問わず韓国で就職する上では必要な心構えだと思います。

韓国語はどうやって勉強したのか?

これに関しては、正直ほとんど会社で使いながら覚えました。交換留学時代は英語での授業環境だったため、韓国で仕事をはじめた時は日常会話もおぼつかないレベル(ギリギリTOPIK4級)でした。あとは、Papagoを頼りに韓国語で仕事をし続けることで、なんとかそれなりに仕事ができるようになりました。

私の場合は韓国での最初の職場の上司が、私が作った稟議書を赤ペン先生のように丁寧に指導してくれたことが今の土台になっています。そのため、その上司には職場を離れた今も、頭が上がりません。一つ言えることは、言語については指摘されることを恐れずに、周りの人にどんどん頼るのが大事かなと思っています。

特に転職で韓国就職する場合は、対象業務であり対象市場をどれだけ知っているかが何よりも大事だと思います。日本市場に関するポジションであれば、その人が会社の日本展開に資する人材であるかの方が、韓国語能力よりも何倍も重要かと思います。韓国語がネイティブレベルでも話す内容がからっぽであれば、すぐ面接官は見破ります。韓国語がネイティブレベルではできないからと気後れをする前に、まずはトライしてみましょう!

次は、韓国で大企業とスタートアップで仕事をしてきた私の目線から、韓国の大企業とスタートアップの比較をしてみたいと思います。

韓国大企業とスタートアップの違いとは?

韓国大企業とスタートアップの違いとは?
(最初の職場だったCJ4DPLEXの入口)


韓国で就職した方は増えてきましたが、私のように大企業とスタートアップの両方を経験した人は意外に少ないかと思うので、その両方を比較しながら書いていければなと思います。

ちなみに私のキャリア遍歴は、文系大学院→戦略コンサル(日本)→CJ4DPLEX(映画系大企業・韓国)→CLASS101(コンテンツスタートアップ・韓国)→Anua(化粧品スタートアップ・韓国)→MakinaRocks(AIスタートアップ・韓国)という流れになります。なので、サンプル数はスタートアップが厚めな点、ご了承ください。

まず、大企業とスタートアップの違いでよく言われるのは、社内カルチャーの違いです。ただ、私のいたCJはニム文化(さん付け)の会社で、服装も自由でしたしあまり堅苦しい感じはありませんでした。唯一大企業っぽいなと思ったのは、昼休み終わりに社内放送&軽くストレッチタイムがあることでしょうか。ストレッチを真面目にやっている社員は少なかったですが、私は恥ずかしげもなくやっていました。

スタートアップでは、「水平的な組織(フラットな組織)」を謳っている会社が多いと思います。ただこれは個人的な考えですが、ある程度規模が大きくなれば、組織立った意思決定は必要になります。そのスタートアップの現状が本当にフラットな組織なのかについては、面接やそれ以外の機会を捕まえて会社の人と多くのコミュニケーションをするしかありません。

また、これからもフラットな組織を維持できるかについては、経営層と入社前にコミュニケーションをとって理解しようとするしかありませんが、限界があります。カルチャーについては、大企業だからスタートアップだからというよりは、面接過程において会社とのコミュニケーションする中での見極めが大事だと思います。

あとは、スタートアップの方が意思決定のスピードが速く、大企業は遅いというイメージもあるかと思います。これは、それなりに正しいとは思いつつ、そもそもの意思決定プロセスの違いを考慮する必要があるかと思います。私がCJに入って最初の方に覚えた韓国語が「稟議(품의)」でした。承認が必要なものに関して稟議書を上げることです。これは確かに面倒な点がある一方、他の人も見えるプロセスを踏むことで意思決定が見える化される部分もあると思います。

逆にスタートアップでは、こういったプロセスが整備されていなく意思決定プロセスが明確でないこともあり得ます。社内の誰か偉い人を捕まえて口頭で確認したのをもって案件を進めた結果、「言った言わない」で大揉めになるなんてこともあり得ます。スタートアップでも、承認を得て進めることについては、Slackなどコミュニケーションツール上のオープンな場所で書き残しておくことが無難だと思います。

最後によく言われるのが、「スタートアップは裁量が大きい」です。ただこれは「業務の幅が広い」ということも同時に意味します。例えばスタートアップにおいては、明確な日本進出戦略もないのに、一人目の日本人社員として「あとはよろしく」ということもあり得るわけです。これに対して、腕まくりして「よーし、やってやろう」となるタイプなのかどうかも重要かと思います。ある程度役割分担が明確な中で仕事をする方がいい人もいるでしょうから、これも場合によりにけりですね。

これらのポイントを考えると、特に「韓国」大企業とスタートアップだからこの差が生まれてくるというわけではないと思います。ここまで挙げたポイントは、おそらく日本の大企業とスタートアップを比較するときにも同じようなことが言えると思います。なんの結論にもなりませんが、やはり個社別で考えて、しっかり面接過程でコミュニケーションする中で、自分に合った会社を見極めるしかないように思います。

(ソウルのオフィス街(ソンルン)

新卒で韓国就職はあり?!

これもケバケ(ケースバイケース)としか言えないなと思います。

私は、駐在員を除いた韓国で働く日本人の傾向を見ると、大きく3つの世代に分けられるのではないかと考えています。

  • 第一世代(1990年ごろ~):日本のメーカーから引き抜かれて、サムスンなど韓国のメーカーに転職。(韓国で働きたいというよりは、能力を買われてリタイア前に韓国に来たパターン。)
  • 第二世代(2005年ごろ~):日韓W杯や韓流の影響を青年期や大人になってから受けて、韓国に渡ってきたケース。(私の場合はこれに近いです。)
  • 第三世代(2020年ごろ~):子供の頃から韓国文化に囲まれて育った世代。韓国留学などにも抵抗がなく、自然の流れで韓国就職を志向。
ここにおいて、第二世代の人にとっては私のように日本事業の担当者として中途採用される流れが自然でしょうし、第三世代の方にとっては韓国企業の中核を担う人材として日本にとらわれないキャリア形成ができると思います。

新卒時点で韓国での学歴があり、韓国語もネイティブ並みに話せる人材であれば、新卒で韓国企業の王道を歩むというのが選択肢に入ってくると思います。逆に韓国語力に自信のないケースであれば、何か光る一芸を使って、新卒で韓国企業に入ることもできるかもしれません。ただ、私のようにそのどちらもない場合には、日本である程度の経験を積んで日本市場の担当者として、企業に入る方が現実的かと思います。

なので、自分の現状と目指したいキャリアを考えた上で、新卒チケットをどこで使うかの判断になるのかなと思います。

これから韓国就職を考えている人へ

その先がどこの国であれ、日本で長く育った人が海外で就職することは容易なことではありません。韓国で就職することを目標とすることはとても素晴らしいと思いますが、キャリアにはどんな出会いがあるか分からないものなので、あまり長期プランにとらわれないことも重要なのではないかと感じます。

いわゆる「プランドハップンスタンス理論」ではありませんが、キャリアの多くは偶然でやってきて、それを捕まえることが重要なのだと思います。(私もいろんな素敵な偶然がこれから起こることを期待している所です。)ただ、「韓国に行きたい」という思いがあるのであれば、すぐ直接につながらなくとも常にその思いを声に出し続けることが大事だと思います。

念仏のように「韓国に行きたい」と周りの人に話し続けていると、ふとした瞬間にチャンスが巡ってくるかもしません。また実際に韓国に行くことになったときに、周りの人がもし応援してくれなくても「まぁ、ずっと言っていたもんね」と半ば諦めムードになってくれます!「明るい根回し」が重要です。

次はどこまでいっても外国人である私たちのあとを追いかけてくるビザの話をしていこうと思います。


ビザ取得遍歴

ビザ取得遍歴
(ソウル出入国・外国人庁)


出入国管理事務所(今は「出入国・外国人庁」と呼ぶらしいです)で、色んな経験をされてきた方がいると思います。私も、ビザという縛りに怯えながら、ここまで生活をしてきました。この記事を書くにあたって、私が韓国で何種類のビザを経験してきたかふと計算したところ、なんと6種類ものビザステータスを経てきたという驚愕の事実を知りました。これまでのビザ遍歴は以下の通りです。

2014年09月~ D2(留学)※その後帰国しビザ失効

2019年06月~ H1(ワーキングホリデー)

2019年09月~ E7(特定活動)

2020年08月~ D10(求職)

2020年11月~ E7(特定活動)

2022年09月~ F2(居住)

2023年10月~ F5(永住)

特に2019年に再渡韓してからは、1年1回以上のペースで目まぐるしくビザが変動してきました。結婚をせずにワーホリから永住権まで取得する人は相当レアケースなのではないかと思います。

特に永住権に関しては、取得までのスケジュールは下記のような形でした。

2022年09月:居住ビザを取得

2022年10月:間髪入れず永住権の申請書類を集めはじめる

2023年01月:永住権申請

2023年10月:永住権許可

居住ビザでも2~3か月のうちには出たことを考えると、1年近く待ち続けた永住権は地味にストレスでした。申請時の窓口では「通常8か月~12か月程度かかる」と言われたので、丸8か月を過ぎたころからは、許可が下りると最初に反映されると言われるHi Koreaの在留満了日照会(체류만료일 조회)ページにいたっては毎朝見ていたぐらいです。そのため、許可を知らせるショートメッセージを受け取ったときは、思わずガッツポーズをしてしまいました。

ビザに関する5つのアドバイス

ここからは、あくまで経験に基づくアドバイスにも満たない個人的な5つの考えを共有します。
 
一つ目は、「とにかく韓国に来よう」ということです。ビザが延長できるか、ちゃんと仕事につけるかなどが不安で韓国に行くのをためらっている方がもしいらっしゃれば、とにかく韓国に来てみることをおすすめします。ワーキングホリデービザでも語学研修ビザでも、まずはとにかく韓国に滞在しながら機会を探すことが重要だと思います。

私自身、日本から韓国現地での仕事のポジションを探したりもしましたが、やはり現地に来て色んな人と会うだけで、情報量が段違いに変わってきます。やってみないと分かりません。なので、まずは韓国に来てみることをおすすめします。最初に得たビザの期間がある種のタイムリミットだと考えて、日本にいるときに考えた目標達成のために期限を切って頑張り、だめならすっぱり諦めるというのも一つの方法だと思います。

特に私の場合、期限がないとダラダラするタイプなので、常に次を考えざるを得ないワーホリの1年というリミットは逆によかったのではないかと思います。
 
二つ目は、「求職ビザもうまく活用しよう」ということです。もし就職して頑張って働いたのに、その仕事を辞めざるを得なくなった時には、求職ビザを使って一息ついて、自分のやりたいことを考え直すのも吉です。一般的に転職活動においては、次の転職先を決めてから辞めるのがいいとされています。ただ、そんな余裕がない状況に追い込まれることもあります。

私自身、勤めていた会社が希望退職を募集する、退職勧奨を行うという中々ハードな局面に2度ほど遭遇したことがあります。そんな中で焦って転職を決めるよりも、一度求職ビザを取得して身の振り方を考えることも選択肢の一つと思います。私の場合、韓国で最初の会社をコロナ禍の色々な事情が重なり辞めざるを得なくなった時、求職ビザで次のステップを色んな人に相談しつつゆっくり考えながら、「まだ韓国でやり残したことがある」という結論に至りました。これは、今考えると必要なプロセスだったなと思います。
 
三つ目は、「社会統合プログラムを楽しもう」ということです。人によるものの、何十時間から何百時間に及ぶこのプログラムを受けるのが苦痛になる場合もあるでしょう。もちろん、TOPIKを取得して、最短距離での受講をされることをおすすめしつつも、せっかく参加するならば楽しみましょう。

私の場合、インドからの参加者の方がものすごくプロアクティブに参加されていて、かつ韓国社会の知識も広かったので、とっても刺激を受けました。あとは、ここで学んだことがあとあと意外に役に立ったりします。例えば、私の時は地域の特色やお祭りを覚える単元があったのですが、仕事で定番の出身地話になったときに、「○○ってXXが有名ですよね!」みたいな話に役立っています。
(社会統合プログラムの教科書)


四つ目は、「長期的に永住権を目指すなら、自分にフィットする種類を前もって見極めよう」ということです。韓国のF5ビザ(永住権)の申請カテゴリは27個あります。一般永住以外にもいくつか方法はあるので、自分が目指すビザの種類を前もって意識しておくことは一つの目標になると思います。私の場合は、運よく韓国国内の大学での文系修士号があったので、5年以上の滞在要件がある一般永住よりも早いタイミングで申請することを最初から目標にすることができました。

五つ目は、「とにかく忍耐」ということです。最後は精神論です。特に永住権については、私の場合10か月、長い人は申請から丸々1年待たされることもあるプロセスです。気になって1345に電話したところで、なしのつぶてです。じっと我慢するしかありません。意識しないようにしても、やっぱり気にはなるのですが、特にこれに対する打開策もありません。私は福島県の会津というところの出身で、郷土の偉人に野口英世先生がいるのですが、彼もこんなことを言っていました。「忍耐は苦し、されどその実は甘し。」我慢も大事ですね。

 最後に、忍耐も必要なビザとのお付き合いですが、それでも皆さんのビザとのお付き合いが、少しでも楽になることをお祈りしています。(私も永住権をどう維持していくのかが今から悩みです。)
※本記事は『KORIT』により提供され、Wantedで編集されました。
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